2018年11月16日(金)・17日(土)・23日(金)各日11:30〜14:00
今年最後の催しです。
三島由紀夫、白洲次郎・正子ほか国内外の食通を魅了し続け、ミシュラン三つ星を9年連続獲得した京都・祇園の割烹料理店「千花(ちはな)」。今年5月、主が留守の際に出火。古い木造家屋は全焼しました。「京都の宝」と言われた名店の焼失は全国放送のニュースでも知らされたほどです。河原町通りに面した南座の東側。あたりは木造住宅が立ち並んでいて、黒く濛々とあがる炎や煙、次々と到着する消防車など、あたりは騒然となりました。
先代からも超有名店ではありますが、亭主の年齢から考えても、再開は無理だろうという声も少なくありませんでした。
しかしながら、亭主である永田雄義さん、女将の眞起子さんは突き落とされた深い崖の下に落ちた絶望的な日々の中、粛々と動き、四条通りから少し北、祇園・新門前通りで再開することにしました。失ったものの大きさを背負いながら、家族や周囲との絆を再確認しての決断です。
その門出に御縁をいただき、祝いの能管と新生の料理を楽しみます。
新店で初めて、そしてしばらくは行われる予定のない食事会を御縁があり実施させていただく幸運に恵まれました。
能管奏者・野中久美子さん(撮影:桐野伴秋/KIRINO TOMOAKI)
食事の前に、お祝いの能管を演奏してくださるのは、能管奏者の野中久美子さんです。京都市生まれ。国際基督教大学教養学部卒業後、能管を松田弘之(能楽笛方森田流)さんに師事。独奏のほか、世界の様々な楽器や舞、朗読との共演も行い、屋久島縄文杉、下鴨神社糺の森などの野外での演奏や神社寺院での奉納演奏も数多く行っています。アジア・ヨーロッパ諸国へも度々演奏に訪れ、独奏会や現地アーティストとの創作共演。能管の直截的な音や力感を生かす新しい作品を創作していて「風迢舎」を主宰。1998年から2017年まで京都市の大徳寺大慈院で様々なジャンルの表現者をゲストに迎えたコンサート「風響の会」を毎年おこなっています。